屋上緑化における失敗事例を、個別論ではなく構造的に整理する技術解説サイトです。
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屋上環境の誤認

屋上緑化が失敗する原因①

― 屋上を「地上の延長」と誤認した計画

屋上をどのような環境として捉えるかという最初の認識は、
設計や方式の選択だけでなく、
施工後に起こる出来事をどのように受け止めるかにも影響します。

屋上緑化における失敗の多くは、
施工や管理の問題として語られがちですが、実際には、計画段階における
環境認識の誤りが出発点となっているケースが少なくありません。

その中でも最も典型的なのが、
屋上を「地上の延長」として捉えてしまう計画です。

屋上は、建物の最上部に位置することで、

・風を遮る要素が少ない
・日射を直接受けやすい
・気温変化が急激になりやすい
・空気が乾燥しやすい
・確保できる土壌量が限られる
・人が常時立ち入れる環境ではない

といった、地上とは本質的に異なる条件に置かれています。

しかし計画段階では、
「地上で実績のある方法だから」
「公園や植栽帯で問題がなかったから」
といった理由から、
地上緑化の考え方がそのまま屋上に持ち込まれることがあります。

この時点で、
屋上緑化はすでに不安定な前提の上に立っている状態になります。

屋上では、
風による乾燥が植物や土壌に与える影響が非常に大きくなります。
気温が同じであっても、風による蒸散量の増加によって、
水分は想定以上の速度で失われていきます。

さらに、屋上では土壌を十分に厚く確保できないケースが多く、
地上のように
「多少の不具合を土量で吸収する」
という余地がほとんどありません。

そのため、
設計段階でのわずかな判断のズレが、
数年後になって植物の生育不良や部分的な枯死として
表面化することになります。

屋上緑化は、
「地上で成立したかどうか」を基準にするのではなく、
「屋上という環境に適応できるかどうか」を
前提として設計されるべきものです。

この前提を誤ったまま進められた計画では、
方式・植物・管理のいずれを工夫したとしても、
長期的な安定性を確保することは困難になります。

屋上緑化は、
地上緑化の延長ではなく、
屋上という特殊な環境に対する独立した設計分野として
捉える必要があります。

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