植物選定の考え方
屋上緑化が失敗する原因②
― 植物を「見た目」や「カタログ」で選定していないか
植物を
「何を使うか」で見るのか、
それとも
「その環境でどう振る舞うか」で見るのか。
この視点の違いは、
設置直後ではなく、
数年後の結果として明確に現れてきます。
屋上緑化における植物選定は、
デザインやコスト以上に、
環境への適応性が結果を左右します。
しかし実務の現場では、
見た目の印象やカタログ上の説明、
採用実績の多さといった要素が優先され、
植物が選定されているケースが少なくありません。
屋上は、
・強風
・高温
・乾燥
・急激な温度変化
・限られた土壌量
といった条件が同時に重なる環境です。
このような環境において植物に求められるのは、
耐暑性・耐乾性・風への耐性・根の成長特性など、
生理的な環境適応力です。
一方で、
「よく使われている」
「施工実績が多い」
といった理由は、
その植物が屋上環境に適応できることを
直接的に保証するものではありません。
同様に、
屋上緑化に関するCAD図や標準詳細が整備されていることは、
設計や施工を円滑に進める上では大きな利点ですが、
それ自体が植物の生育や長期的な安定性を
担保するものではありません。
図面化のしやすさや設計実務上の扱いやすさと、
過酷な屋上環境における植物の成立性は、
本来、別の次元で評価されるべき要素です。
この二つが混同されたまま計画が進むと、
設置直後は整って見えても、
数年後に
「緑が広がらない」
「被覆率が上がらない」
といった形で問題が表面化します。
屋上緑化では、
単に枯れないことだけが成功の指標ではありません。
植物が生き残っていたとしても、
被覆率が上がらず、
基材や固定部材が露出したままであれば、
緑化の目的は達成されていないといえます。
植物は単独で成立するものではなく、
方式や運用の前提と切り離して
評価することはできません。
植物選定とは、
「どの植物を使うか」を決める行為ではなく、
屋上という環境の中で、
その植物が長期的に成立するかを見極める行為です。